■ レッツ☆ルドルフ人生 2号



「―――ふぅ。」

ここはルドルフの寮だ
ここまで来ればもう何も恐いものはない
兄貴の影に脅かされることはない
兄貴はここにはいないのだから―――

観月さんのひとことに俺は救われた
ここでなら――――――やれる
俺は兄貴を必ず超えてみせる
ここでなら――――――

この学校のテニス部の部長は赤沢先輩だ
この人がまた優しい人なんだな。これが。
部長なのに偉ぶるわけでもない
どっちかっつーと観月さんが主導権握ってる
ここ二日くらいでなんとなくだけどそう思った
で、部長を慕っているのが金田とかいう
ちょっと間の抜けてる男
なんでこいつが同室なんだ
なまっちょろくてはっきりしねぇ
妙にむかつくヤローだ
はっきりしねぇ男はヤローじゃねぇ
なんかこう憎めねーっつーのはあるけどな

「あ、あの不二君。」
俺は不二過敏症
つい弟って付け足された気分になる
だからおもいきり睨みつけてやった
「不二君どうかしたの?」
全然効いてねぇ・・・・
「裕太って呼べ。」
「うん。わかったよ。裕太君、話があるんだけど。」
話があるなら早く言えばいいだろ
なんかコイツといると疲れるんだ
アヒルの方がよっぽど疲れるけどな
あいつは心の底から憎めるぜ
あ、話が横道それたな
「で、何だよ?」
「荷物届いてたよ。」
部屋の片隅の置かれたダンボール
俺のと書いてある
家をでる時に俺が書いたやつ
良く見るとその下に弟のって書いてある
だ〜れ〜だ〜っ!!
ブルブルブル・・・小刻みに肩がゆれる
「おとうとの?」
「か〜ね〜だ〜〜っ!俺は裕太だっ!」
金田は悪気はないハズだがつい癖で反応してしまう
気付けば金田のこめかみをぐりぐりしてた
「いたいよ。裕太君ってば。」
あ、悪い悪い
ちくしょ〜、兄貴のヤロー
こんなことするのはあいつしかいねぇっ!
音符ついてりゃ誰だってわかるぜ

「裕太君開けないの?」
すこしの間俺は放心してたようだ
しっかりしなきゃ俺!
もう兄貴におもちゃにされんのはごめんだ
ダンボールのガムテープをはがしにかかった途端
ダンボールが揺れ始めた
うわっ!怪奇現象だっ!
まさか姉貴が黒魔法とか掛けたんじゃねぇだろうな
俺は平常心を装って内心かなりビビってる
金田はなんとも思ってないようだ
ちょっと羨ましい
俺が開けるのをためらっていると金田がひょいと開けてしまった
待てよ俺まだ心の準備ってやつが・・・・・
「うぎゃあぁ〜〜〜!!」
俺はビビってたので驚きより先に叫んでしまった
ぜってぇなんかの魔法だ・・・こんなの夢だあ〜!

「ちょっと裕兄、化け物見る目で見ないでよ。」
中からでてきたのは
「あ、この人さっきから話してた金田君ね。」
「はじめまして。よろしく。」
「こっちこそ。でも早く気づいてほしかったわ。」
「ごめんね。裕太君の箱だったから。」
金田はいつもと変らず普通に話をしている
というよりすでにと仲良し状態だ
前から知ってる友達のようなノリだ
俺は驚いてんだよ、オメーも驚けよ!
「金田ってかわいいわね。」
「//・・そ、そんなことないよ。」
おい、なにおまえら盛り上がってんだよ
だってかわいいと思うよ。」
「女にそんなこと言うとつけあがるぜ。特にこいつは。」
俺がヨコヤリを入れると金田は驚いた様子だ
「え、って女の子なの?」
驚くところ違くねぇか?
箱から出てきた時点で驚けよ!
つーかなんでいつのまに自己紹介してんだよ、しかもすでに呼び捨て
「どこから見ても女の子に見えると思うけど?」
が金田に微笑かけている
兄貴みてぇで怖ぇ
とりあえずフォロー
「と、とにかく名前からして女だろ。」
フォローになってない・・・
「だ、だってここ男子寮だよ?ば、バレたら大変だよ!?」
どうしようどうしようと金田はオロオロしている
たしかに怒られそうだよな
俺は逃げる事に決めこむぜ
それより怒らねぇ
金田のこと気に入ったみたいだな
「部屋から出なきゃバレないよ♪」
!兄貴みてぇに音符つけるなっ!」
「はいはい。わかりましたわお兄様。」
「あれ?兄弟なの?」
さっきまでのオロオロはどこへやら
「自己紹介したんじゃねぇのかよ・・・・。こいつは俺の双子。」
「そうだったんだ。じゃあ今日は遊びに来たの?」
「そうなの。あまりに裕太がツレナイので。」
「釣れない?」
「そうなの。えさにひっかからないのよね〜。」
「美味くねぇんだよ。その前に金田そのネタ振り上手くねぇ。
寝たふり決め込むぞっておぃ、。俺になにやらスんだよ。
っつーか早く帰れよ。返すぞオラ。」
箱の中身をぶちまけて差し出すとはそれじゃぁお言葉に甘えてとか言って
ダンボールに入ろうとする。
金田!笑って見てねぇで俺達を止めろよ!
「はいはい。その辺にしておけよ。」
部屋の入り口から声がした
「「「あ」」」

その人物を見た途端、今まで笑っていた金田が青ざめはじめた
「おまえら楽しそうだな。」
「ぶ、部長!これにはワケが・・・」
どんなワケだよ、何て言うつもりなんだよ金田
赤沢部長にバレたからには俺も怒られるんだろうなと覚悟はしたが
部長はただおもしろそうに笑っているだけだ
「み、見てたんデスか?」
俺にとっちゃあんなお笑いを見られて恥だろ恥
家族そろって変なやつって言われたらどうすりゃいいんだよ
部長にガンくれるわけにゃいかねぇよ
「ばれたら大変だよ辺りから聞いてた。」
そんなに前から?
廊下に正座とかされないんデスネ?
「まぁ秘密ごとってのはみんなあるからな。そんなことで怒らねぇよ。
女連れ込んでてもとやかく言わねぇよ。」
「こいつはただの兄弟ですから。」
誤解されないよう念の為言っておいた
「双子だってのは聞いた。でもたしかにバレたらやばいな・・・・・・」
正座じゃなくてバケツ持ちとかするんデスカ?
それともパシリとかやらされるんデスカ?
ちょっと不安になっていると赤沢部長は考えた末にこう切り出した
「・・・・・・・・俺の弟ってことにしとくか。」
「「「は?」」」

「それがいい。これからはの事は部長の弟ですって宣伝しろ。
おまえら似てねぇしちょうどいいからそうしとけ。いやそうしろよ。
ああ顔見て納得。やばいぜほんと不二みてぇ。
向こうは俺のことなんか知らねぇだろうけどな。」
「自己完結しないでくださいっすよ。って俺も不二なんですけど。」
兄貴は人の事コケにしたがるから知ってても知らないって言うんだろう
兄貴ってやっぱ有名人なんだよな、そのうえひどく失礼な奴
あいつのフォローなんてしたかねぇけどしなきゃ俺まで失礼な奴だと思われるだろ
・・・あ、その前にフォローのしようがねぇ・・・・ちょっとため息をついてみる
「赤沢先輩は何を考えているのですか?」
金田が妙に落ち着いてないのは気のせいではないだろう
「その前に弟に見えマスカ・・・・?」
心外だというようにが答える
俺的にはは兄貴に似ておんなじユニセックス系の顔をしてると思う
親父とか母ちゃんに似てるってのならわかるんだけどよ、兄貴でてくるのかよ
「この世に不可能はないと思うぜ?」
部長ってなにげに女の扱い心得てるんだな
なんとかなるとか言った日にゃ、由美姉伝授の呪いかけられるって
そっちのほうがおそろしいよ
ちっくしょう・・・みんなして怖すぎなんだよ
あれこれ考えながら俺は不二ブラックホールにハマっていた
知らない間に弟ってことでとかいう密約は交わされたようだ
「それより赤沢先輩、何か用でもあったんじゃないんですか?」
金田のひとことで俺が我に返ると部長は何してたのか忘れたらしい
部長は暇だから俺の弟って事を宣伝してくると言い残して
あれよというまには連れて行かれてしまった

金田が心配だからついて行くと言うから俺も行こうとした
なのに裕太君も心配でしょとか言い出すもんだから
全然心配じゃねぇと売り言葉に買い言葉で俺は行けなくなった
だから俺は部屋で何をするでもなくただボーっとするだけ
ちくしょー!気になるっ!
は俺の恥話しないよな
してねぇよな・・・・
赤沢部長の弟ってことになってるしな
あいつが恥さらしても俺には関係ねぇか
いや微妙だ・・・・
なにかっつーと俺を巻き込もうとするし・・・
双子ってのはどうしようもない
昔から一緒で怒られるのはいつも俺
恥かくのも俺。馬鹿にされるのも俺
兄弟を強調されるのも俺だけ
いいことねぇだらけで最悪
俺ってすげぇ不幸・・・・・・
いい思い出がない事に今更気付いた
誕生日だってあいつのケーキのほうがでかいんだ
俺の苺まで食っちゃうし
けっ・・・・好きにしろよ・・・・・
もうここまでくりゃ何が起きても運命って思えるぜ
不二裕太、ひとり回想モード全開中
ひとつの不幸につきため息一回

もう何十回ため息ついたことだろう
息すらしたくないと思った頃
金田が帰って来た
は?」
しまった俺何言ってんだ
もう関係ねぇとか思ってたハズなのに
「し、しんぱいしてるワケじゃねぇぞ。」
「もうとっくに帰ったぜ。」
答えたのは赤澤部長
やっぱりあいつなんかしでかしたんすか?
あいつの恥は俺の恥か
それもまた一興
しまった俺何考えてんだ
何をしたんだ、それおもしれぇ?とか思ってる
ヤベえ。毒されてるよ俺
「なあ裕太、聞いてもいいか?」
「部長、の奴一体何したんすか?」
金田が一瞬ピクリと肩を動かした
俺はそれを見逃さない
やっぱなんかあったんだな・・・
「・・・・金田バラすんじゃねぇ。」
「う、い、言いませんっ!」
買収されたか金田・・・いい奴だったのにな、おまえ
赤澤部長に念押されりゃそりゃ断れねぇとは思うけど
「それで何を聞きたいんです?」
の生態についてっすか?
そんなの俺にもわかりませんて
できれば俺に教えてください
「裕太、おまえの家の電話番号教えろ。」
「それは構わないっすけどイタズラなんかしたらタタられる覚悟あるんすね?」
俺ですらイタズラできないのに赤澤部長勇気あるっすよ
姉さんがでたら・・・・・ため息そのいち・・・・・はっきりいって後悔するだろ
兄貴だったら・・・・・・・ため息そのに・・・・・・まず名前覚えられるだろうな
だったら・・・・・・ため息そのさん・・・・矛先は俺か
「今時イタ電なんかしねーよ。アホ裕太。」
だったら何するつもりだろう
「せ、先輩。本人が嫌だって言うんですからやっぱり・・・」
金田は必死に部長を説得しようとしてるが応じようとはしないみたいだ
「あれくらいで諦めるわけないだろ。」
に迷惑ですよー。赤澤先輩。」
「おぃこら金田。何があったんだよ。」
俺はとことん気になるよ
金田をじっとみてるとあいつ部長に助けを求めやがった
目で訴えてるよ
結局口を開いたのは部長
「あーもー。ちゃんの声聞きたいんだよっ。」
「・・・・・・・。」
それってあれ?
部長がに惚れた・・・とか?
俺はかなり拍子抜けした
まぁそういうことなら協力しないでもない
なにせ男が赤澤部長なら文句ないし
俺がメモ用紙を取り出していると金田に奪われた
「ダメですよっ!!はそれはもう嫌がってたですっ!!」
が?」
が嫌がった?赤澤部長を?
そりゃすげぇ、めったにないチャンス逃したんだな
「か〜ね〜だ〜っ!てめぇだって先輩差し置いて番号交換してただろ!?」
が僕にこっそり教えてくれたんですっ!!」
「なんで俺には教えてくれね〜んだっ!コラぁぁっっ!!」
「僕だけって言ってたんですよ。先輩に教えるわけにはいきませんっ!」
「は?」
俺を置いてかないで
「聞いて驚けよ裕太。金田がちゃんの携帯番号知ってるんだぜ?」
が携帯??俺だってそんなの知らねぇよ?なんでだよ。」
いつのまに携帯なんか持ったんだ?
で、それもなんでよりによって金田なんかに教えるんだよ〜〜っ!!
許せねぇ、
俺には教えない気か!?(俺ら半身なのに?怒)
「だからな裕太。俺に家の電話番号くらい教えてくれたっていいだろ?」
「ダメだダメだダメだっ!金田の持ってる番号も没収だああああっ!!」
俺は叫んで金田のボディーチェックをしはじめた
「あ、裕太君。ご乱心っ!くすぐったいよ。なにするんだよぅっ!」
数字が並んでいる黄色い紙を発見っ!
俺はそれを奪うと捨てようとしたが赤澤部長の邪魔が入る
「裕太それはおれが貰うっっっ!」
赤澤部長に渡すのも癪にさわるのでおれは紙を口に放りこんだ
「「ああっっ!!」」
そう。食った。ヤギのごとく。
俺は勝利を収めたのだ
部長も金田もがっかりしている
ざま〜みろっ!
俺に教えとかないからこうなるんだよっ!!
「フンッ・・・」
俺は次の休みに家に帰っての携帯をぶち壊す事に決めた
その前に翌日一日中俺は部長にパシられ同室の金田に無視された





あとがき

あ、裕太壊れた・・・(笑)
金田も憎めないけど裕太も憎めないタイプだよ・・・
なにげに赤澤もなんだけどね。うふっ



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