ウェディング 4


長めの髪をおおまかにまとめてとりあえず車を走らせる
失恋パーティーだからの好きなとこに行けということで海に決めた
「おおおおー海のにおいダー!」
潮の香りに一番喜んでいるのはなのかもしれない
砂浜のすぐ近くに車を停めて、宴会が始まった




はすでにベロベロになり私の愛しい杏露酒(シンロチュ―と読む)を抱えこむ
ソレ飲ませろと奪おうとしたのだがは自分のモンだといわんばかりに放さない
次第に眠気が襲ってきたのかは砂浜まで歩いて行くとズボッと大の字に寝転んだ
そしては動かない
覗き込んでみるとは夢の世界へ旅立っていた

「これ、後部座席に寝かせてくれます?」
「わかった」
「そういえば手塚さんって、教会に車停めてるんじゃないんですか?」
「ああそうだったな。」
「じゃあ帰り送りますよ。」
「ああ頼む。」

にどさんこまかしとけぇー。」
は寝言をいいだす始末だ
「・・・どういう意味だよ・・・。」




手塚がを抱えあげると携帯がぽとりと落ちた
ブルブルとバイブっている
私はそれを拾って着信履歴をみてみると思い出したくない人物の名前がそこにあった
のこめかみもブルブルとバイブっている
を置いて来るように頼んで私は、ぽちっと受話ボタンを押した

ちゃん〜??元気〜?ねえねえちゃん、怒ってた?』
「・・・・・・・。」
『やっぱり怒ってるか・・・・・・はぁ・・・・・。』
「・・・・・・・。」
無言でいると、向こうでガサゴゾ音が聞こえる

『あのさ〜、ちゃんにお楽しみ中だから今日家に来ないように言っておいてね〜。』
電話に出たのは、知らない女の声
それを慌てて引ったくるような音がした

『やぁん、いたぁ〜いぃ・・・』
と遠くで女の声がする

『もしもし?』
「ヤアヤア。ヨー、オツカレサン。オタノシミチュウデスカ。ソリャヨカッタネ。」
『なっ、っっ!?ごめっ、ほんとごめんっ!!全然オタノシミとかじゃないし来ていいしっっ!』
「テメーコロス、ゼッテェコロス、フザケンナダレガイクカバカヤ・・・ローー!!」
ぷつっ。言いたいだけ言って電話を切った
これで今日は家なき子になってしまったのだ
明日荷物取りにいくと速攻電話をかけ直したのだがすでに電源オフになっていた
ムカツクムカツクムカツクーーー!!!
ありったけの念をこめて携帯を海に投げ捨てる
------しまったー!!あれのだー!!
慌てて拾いに行くが、すでに海水を浴びてショートしている
を置いてきた手塚は海に携帯を投げ入れるところからばっちり見ていた
様子のおかしいの手には濡れた携帯が握られている
きょとんとしている手塚さんの様子に、はしまったを連呼する
見られたか
「テヅカサン、ヒミツダヨ♪」
私はの手に杏露酒のかわりに携帯をこっそりと握らせた




「もう帰りましょっか・・・。」
辺りは星がうっすらと見えるほどに暗くなっていた
「そうだな。」
「あっ。ちょっとまって。」
は海辺を眺めると傍にあったなにかを拾ってくる
「何だ?」
「すごくきれいな石だよね・・・。いいことあるかもvv」
そういってくったくない笑顔を見せるは幼く見える
「乙女の常識ですよ?、テヅカサン。」
そういってよこしまな微笑を浮かべたは黒く見えた































を家に送り教会に無事着いた
日は落ちて、暗闇といえるほどに夜中になった
はあくびをしている
今日はいろんなことがあってだいぶ疲れたのだ
「今日はありがとうございました。それじゃぁまた。」
「ああまたな。」


またという日は永遠に来ないだろうが、それでも偶然会うこともあるそのための挨拶を交わす
手塚はその場を離れて自分の車に乗ろうとすると、はエンジンを停めて車を降りた
その足は教会に向かう
神父がでてきては教会の中に入って消えた
何か忘れ物もしたのだろうか
・・・・・・・・
すると今まで忘れていたのは自分だったことに気づく
は今日ここで式を挙げるはずだったのだ
ここに2度と来るのも嫌だったはずにちがいないのだ
俺は車を降りてさきほどまで騒ぎながら乗っていた車に近寄った
座席には王冠が残されていた











誓いの儀式が快晴な天候の下で行われるはずだった
緊張からかこころなしか体が強張る
そして心待ちにしていた今日という時間は通りすぎた
ベールを降ろして踏み出した人生のその先に愛しの人の存在はなかった




私は壇上でマリア様の静寂のベールに身を任せることにした
その神秘的とも言える空間を割くべく運命の歯車が動き出した
ざわめきの中心にオロオロしたが慌てて外に出るとさきほどの静寂が戻る
神父様も微笑んでいた




マリア様を見ていると不思議に心が落ち着いてくる
扉が開く音がして神父様が聖書を閉じた
これから何が始まるのだろうと俯いていた顔をあげる
私は背筋を伸ばすと彼の近づく足音を聞くべく目を閉じた



コツコツ・・・
聞こえるはずのない足音が聞こえる
それなのに
「・・・・
私を呼ぶ小さな声がする



振向けば手塚さんがそこに居た










あとがき

ちょこっと綺麗メを目指してみたんですが・・・・。
たいしたことないでやんの。ちゅど〜ん(自爆音で号泣)
これで完結(しまったっ!中途半端かっ!?、笑)
いや、でもここで終わっといたほうが、無難に綺麗なはずなんだ・・・(?)
ちなみに元新郎の名前は・・・いや、内緒にしとこう。
石に、特に理由はありません

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送