ウェディング 5




なぜそこに手塚さんがいるのだろう



?」
その疑問系はなんなのでしょう
「はい?」
「・・・大丈夫か?」
「・・・・・・ええ、まぁ。で、手塚さんどうかしたんですか?」
「忘れ物だ。」
手渡されたのは本日着用していた王冠である
「?」
「・・・・・・。」
王冠を見たとたんに、走馬灯のように思い出が脳裏に蘇える
ようやく今日の出来事まで追いついた途端、思わずため息が出た
「コレをどうしろと?」
わざわざこんなもん持ってきて、私になにか恨みでも?
「つけてくれないか?」
「どうして?」
「見たいからだ。」
なんとも明解なお答えですね
私が王冠をかぶると、手塚さんはじっとソレを見つめる
はっきり言って、居心地が悪い
「・・・・・・今日の相手」
「ん?」
「愛してたんだろう?」
「・・・・えっと・・・・どうだろう。」
「隠さなくてもいい。」
あの・・・・ちょっと・・・・
真剣な眼差しで訴えかけられるように感じて私は何か言おうとしたが、躊躇した
「運命ではなかっただけのことだ。」
一歩後ずさりしかける私に、手塚さんの影がうっすらと被さる
あの・・・・?
「気にするな。」
・・・・・・
そうか、こいつ慰めにきたのか
「手塚さん、もう帰りなよ。心配しなくてもいいって。」
すると手塚さんは眉間に皺を寄せて黙り込む
ふと、私は、ここに来たのは間違いかもしれないと思う
ナニをしにきたのだろう、私は
夜分に教会に押しかけて、何がしたかったのだろう



手塚さんは黙ったまま、長イスに座って腕を組む
もしや手塚さんはここに居座るつもりなのだろうか
王冠を脱いで私は神父サマに簡単にお礼を述べた
立ち去ろうとすると神父さまに声を掛けられた
「お待ちなさい。」
「なんでしょう。」
「こちらの方をお忘れですよ。」
神父さまが指した先には手塚さん
手塚さんは組んでいた腕を外して立ちあがる
忘れて行っても支障はないんじゃなかろうか



出入口の扉に手をかけるとさらに神父さまはニコニコした笑顔でおっしゃった
「お二人の幸せの祈りが通じますように」







要するに神父様は、手塚さんとドタキャンした新郎を重ねたわけだ
手塚さんは嫌な顔をするでもなくしごく当然といったような様子で会釈をしている
一体何がどうなっているのだろう



なぜここに手塚さんがいるのだろう





あとがき

手塚さん、なにしたいんだ(笑)
甘い言葉を語らせてもよかったんだけどね・・・
それじゃおもしろくないかと(ギャグ根性、そうとう深いな)




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