■ アキラとの出会い


はじめは私ってばヒカルの親友だった
知らない間にこいつが囲碁をはじめてトーヤトーヤって騒ぐもんだから
トーヤってなんなのさって思ったわけ
それでこっそりアキラってやつに会いに行くことにした


トーヤってのは囲碁界のホープらしい
ヒカルがあいつってすげぇんだぜとか熱く語ってたけどよくわからない
そんなことも知らずに私は碁会所ってところに行ったのさ
迎えてくれたのは受付のおねえさん
棋力はどれくらいって聞くから棋力って何って聞いたら笑われたよ私
わかんないけど強いよ多分、と大嘘こいてみた
そしたら同じ年くらいの超美形の男のコが目をうるうるさせながら近寄ってきた
なぜかおかっぱなんだけど、とりあえずその事には触れないでおこう
そのおかっぱ君は僕とやろうってよくわかんないけど私に興味持ったらしい。
前にも一度そんなことがあったから気になるんだって
その時はまさかヒカルのことだとは思わなかった。
席に促された時点で私は気づいた
囲碁をやりに来たんじゃないんだけどな
すでにお願いしますとか言ってるし
「置石は置いてもいいよ?」
置いてもいいっていわれたので白石を散りばめた。
「で、どうすんのコレ?」
訊ねてみると向かいに座ってるおかっぱ君が呆れたように
それでいて悲しそうに囲碁知らないんだねとか呟いてた
白石を綺麗に片付けながら彼はため息ついてるよ。
それで黒石を豪勢に並べられた。
いやルールくらいは知ってるよ。
ここには置いちゃいけないとかこれ見逃すと取られるとか陣地の広さで勝敗つけるとかね。
ヒカルが打ってるの見たことあるし。まあやったことは無いんだけど。
でもいざ碁盤を前にしてみると何から始めればいいのかわからない
ああ・・・ヒカルってやっかいなもの始めたなぁ
碁盤って広いじゃないかっ!
すると近くでじいちゃんたちが置石を置いて打ちはじめた
そうか隅っこのほうから打ってけばいいんだね
黒石を持ってじいちゃんたちのマネっこしながら置いていく
私が黒石を置くとすぐさま向かいの男のコが白石を置いてくる
ピシィってなんか綺麗な音を立てる
いいんだけどねいいんだけどね石置くの早っ!!
じいちゃんたちみたいにゆっくり考えてくださいよ
「もう長考?」
なんかしらんけど彼怒ってる・・・・
彼の目は真剣だ
さっさと終わらしたいんだな
私の負けず嫌いはヒカルとおんなじ
終わらせてなるものかっと私は碁盤に吸いこまれていった
置石こんなにあれば勝てるだろって安易に考えてたのは失敗だった
どんどん余裕が削られていってしまう
もうちょっと手を抜いてくれればいいのにさっさと終わらせたいわけか
左上にどこかで見た配置ができあがった
たしかヒカルの家の本を漁ってた時に読んだことがある
生きるか死ぬかでたしかココ、と黒石を置いてみた
すると今までガンガン打ってたおかっぱ君の手が止まった
「ついに長考?」
してやったりとここで私はガッツポーズ
オカッパ君は碁盤を見つめて目に映る炎がゴワゴワと火花を巻き散らしている
正直言ってめちゃ怖い
「もう一回っ!もう一回僕と打ってくれないかっ!?」
ゴオオオオッ!って私は彼に迫られる
ここで普通は負けましたと言うんじゃないのか?
ああ・・・こいつってば負けずギライ・・・



結局負けましたの声は聞けずに二回戦に突入
置石なしといわれてやってみればあっさり負けた
その結果に彼は満足したようだけど、今度は私がもう一回コールの番
苦笑しながらもおかっぱ君はニヤリと微笑む
それで三回戦を始めることとなった
おかっぱ君の指先はさっきよりもなめらかで綺麗な動作だった
私はそれに見惚れちゃって石の置き方とかマネをしてみる
パコッ・・・うーん酷い音
それに見かねたらしくてこうしたらいいよと丁寧に教えてくれた
なんとかペシッって音がでるくらいになると私よりおかっぱ君の方が喜んでいる
妙に笑顔なもんだから勝負とかそういう次元にはならなかった
終わってみれば時碁
石を片付けると外は暗くなっていて何か食べに行こうと私は誘った
おかっぱ君はどこにいこうか・・・と首をかしげる
懐石料理屋に行ってみる?ってあんたそれ中学生の行くところじゃないわ
とりあえずミスドに決定(念のために言っておくけどミスタードーナッツね)
それって芦原さんがよく持ってきてくれるとこだよねって芦原ってだれよ
あんたの友達私が知ってるわけないじゃない
ゴメンゴメンとかいいながら笑っているおかっぱ君をひきずりながら店に連れていくと
おかっぱがどれにしようと迷いだすので私と同じにしろと勝手に頼んで席に座らせた
メニューを選ぶのに困っていたようで持ってくると助かったよと晴れやかな顔をする
来た事がない店だと気遅れするらしい
たしかに分かるよその気持ち
ダンキンに行ったら私も困ったかもね
ダスキン?ってそれ食べれないでしょ
私の行ったことの無い店だよと一応説明入れるとおかっぱはそうなの?と微笑んだ
質問したいのか納得したのかよくわからない
流行とかよく知らないから話が通じなくて困ることがあるそうだ
でも私にも色々知らない事があると聞いてすごい安心したよなどと言う
そこまで気にすることなのか?というよりダンキンは流行といえるのか
知らないものは知らなくてもいいだろう
今度は二人でダンキンに挑戦してみようかと私達は談笑した
店内で定員に睨まれていたのは気のせいではないだろう





後で聞いた話によるとあのときアキラは狙って時碁にしたんだそうな
なんでそんなことしたのか訊ねると負けたくなかったでしょと苦笑する
それにと友達になりたかったからね
それが私とアキラとの出会い


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