女子の抵抗 1


最近妙に視線を感じる
ここに転入してきたときから視線は感じていたわけだから
気にするほどでもないんだけど
転入生に対する視線ではないという事にきがついた
なんだか体のてっぺんからつまさきまで眺められてる
っていうかなんていうか・・・・・・なんなんでしょうね


周助、これってなんだと思う?<覗き
そういうのじゃないんだけどな
英二、どう思う?<展示物
いいとこついてるかもしれないわ
そんな感じかも
秀一郎、誰に見られてるんだと思う?<観客
展示物なら観客ってあたりまえじゃない
国光、どう思う?<わからない
そう、わからないわよ
わからないから聞いてるのよ
わからないことは乾にきけか
乾、それでどうなのかしら?<データが足りない
そりゃそうね
タカサンに聞いてもわからないんでしょうね
タカさんやっぱりそうなの?<一緒に考えよう
ってほんとにあなたはいい人ね





学校いくと上履きがなかったの
しょうがないから知らない人のを借りといた
ロッカー開けると何も入ってなかったの
もともと何も入ってなかったんだけどね
体育の授業で倉庫に行ったら鍵が閉まって出れなくなった
困ったね・・・・・・今日はここでお留守番かな



「あれ?は?」
体育の授業から着替えて戻るとがいない事に不二は気づいた
が隣の席になってからずっと一緒だった感じがする
だから逆にいないことがおかしいっていうか不自然なんだ
放課後のHRになっても帰ってこないから
これはおかしいなって直感した
おかしいよね
荷物がおきっぱなしになってるし
体育の時間から帰ってないんだからまだ体操着を着てるんだろうな
帰ってこないんじゃなくて帰って来れないんじゃないかな
だったら探しにいかなきゃね
それともどこかでまたのんびりお茶でもしてるのかな
とりあえず探してみよう
そのとき何人かの女の子に捕まった
いつもなら相手にしないんだけどの居場所でも知ってるかもしれない
「竜崎先生が探してたよ」
そういわれて、僕は素直にが先生のところに行ったんだなと思ったんだ
職員室に行ったんだけど先生はいなかった
今日は部活があるからそっちのほうに行ったのかもしれない





は体育倉庫で寒さと戦っている最中である
「冷えるぅ〜・・まじでここ寒いよ。寒すぎるわっ!」
体育倉庫って冷えるのね
運動でもしないとやってられない
一日持つかな?
汗かいたら風邪引くかな
派手な運動は避けなきゃね
柔軟運動から始める
必要に迫られて踊るなんて何度目かしら
あはは、でもこういうのは初めてね
頭にクラシックの音楽を鳴らし
ゆっくりと体を慣らす
しばらくやってないと体って怠けるのねぇ
ダンスの世界は一日怠ると取り戻すのに三日はかかるといわれている
だからまじめにやっとけばよかったなぁなんて自嘲してみたりする
もういろいろ考えるのはやめにして体を動かすことに専念することにした



不二はコートに行ってみたがそこにも先生の姿もない
僕は気になってみんなにがいないことを話した
話はじめるとあの女の子たちのことが妙にひっかかったんだ
どうしてもきになるからみんなに頼んで探してもらうことにした



ひととおり探したけど見つからなかった
「いたか?」
「いないよ〜。」
「こっちにはいないよ」
「いないな。」
「部長も知らなにゃいって。」
「今日竜崎先生学校来てないそうだよ。」
!!
先生が来てないってことはあの女の子達は嘘をついたんだね
どうりで気になるワケだ
じゃぁあの女の子達がに何かしたんだね
顔まで覚えてないから捕まえて聞くのは無理か
自分が探し出さなきゃ・・・・
早く見つけてあげなきゃ・・・
なにをされたのか不安になってきて僕は焦り始めた
「不二、何か心当たりないかい?」
「・・・・・・・」
体育
あの時間になにかされたんだ
結論を導き出すと早く早くと心がせかされる
「体育館の鍵全部持ってきて!」
「ぼ、僕が行ってくるよ。」
「頼んだ、河村。」
「早く急ぐニャッ!!」
「菊丸落ち着け、不二もだ。まだそこにいるとは決まってないだろう?」
僕も英二も手塚の声を無視してすでに駆け出していた






ドアを叩いても返事はない
「こっちは返事ないよ」
「こっちもだ。」
「みんな持ってきたよ〜。」
みんなが静かになったとたん、倉庫の中から音が聞こえた
耳を澄ますと中から一定のリズムが聞こえる
小さな足音だ
すべらせるようなわずかな音が聞こえる
「ここにゃ!」
、今開けるよ。」



開けたとたん僕達は誰も声がだせなかった
なかではが踊っている
とても楽しそうに
ぼくたちは安堵したが
そこから一歩がふみだせない
そこには僕達の知らないがいる
には僕らの姿が見えていない
よく見ればは苦しそうだ
声をだしても誰にも届かないような光景だった
重圧感が辺りを渦巻いている
誰も動けないし触れられない
を止めることができたのは手塚
を両手で抱きとめて言う
「・・・・もう止めろ。」
ようやく動きが止まる
は集中していて今のいままできづかなかったようだ
僕達に気付くと驚いた表情を見せ、途端に両膝から崩れ落ちる
それを手塚が受け止め支えていた
「あはは、もう動けないんだけど。」
そこには僕らの知ってるいつものがいる
それと同時に重い空気は霧散した


「なんでみんなここにいるの?」
を探してたんだよ。」
「うあ?ごめん。今日部活じゃなかった?」
「気にするな。それより少し休めば動けそうか?」
「あー。だいぶ休まないと無理だねぇ。」
「なぜあそこで踊っていたの?」
「あそこ意外に寒くって運動しないと凍え死にそうだからさぁ。」
「だからってこんなになるまでやるかにゃー。」
「ついついノメリこんじゃってさ。」
は疲れきっていて動けない
僕がもっと早く気づけばよかった
「見つからなかったらどうするつもりだったの?」
「一日踊り明かしだね。」
「それは無理じゃないかな。」
「そんなことないよ。前はよくそれで徹夜したし。」
「そうなのかい?」
「体力落ちたってのを今痛感したわ。やっぱり走りこみ必要ね。」
そういって無邪気に笑うに僕は少し腹がたった



「それよりはどうしてここにいるの?」
「間違って閉められちゃったよ。周助めずらしく怒ってるのね?
英二はそれはもうかなり怒ってるわね。二人ともめったにないわね。
国光はいつもより笑ってる顔してるし何か安心なことでもあった?
秀一郎は霧がかかってるわ。乾はノート持ってないのね。
タカさんラケット持ってるのに叫んでないのね。みんなかなり変だわ。
心配かけてごめんね。でも見つけてもらって助かったぁ。あはは。」
笑い事じゃないニャ!」
「英二・・・?」
英二はに抱きついた
は英二のしたいようにさせてやり
あやす様にその頭を撫でてみた
すると英二は少し落ち着いた
「そうだよ。、罠にはめられたんだよ。」

「罠?」

「まんまと騙されたってことだよ。」
「・・・・誰に?」
周助はとても陰鬱な表情をしている
こういう表情をみるのははじめてだ
「誰かのファンの可能性があるな。」
「・・・・そっか。」
乾は何かを考えているようだ
しかしその内容については興味が沸かない
「悔しくないのかい?」
「んー・・・別に。」
秀一郎は自分の方が悔しいというように見える
それほど悔しいと思うことではないと思うのに
さん、どうしてくやしくないの?」
タカさんはいつもに増して心配そうだ
「だってだいたい知らない人よ。友達なら悔しいとか思うけど。
それに騙し騙されは世界の常識だわ。騙された私に責任があるのよね。」
そういうとみんな驚いたような顔をする
当たり前の事を言っただけなのにな
「ほんとにそれでいいの?」
「自分のせいなのは変わらないわよ。」
。いつまでここにいる気だ。」
国光はいつもの表情に戻っているが、やや怒っているような感じがする
もしかしたらこれから説教でもはじまるのもしれない
「そういえばかなりさぶいんだけど。」
「これを着てろ。」
国光が着ていたジャージを渡すので驚いたが寒いのには勝てずに着ることにした

「人肌ぬっくい〜。とりあえず保健室に運んで。動けないし。」





は仲の良い女友達がいない
逆に男友達はいっぱいいる
同じクラスの男子のほとんどと仲が良い
はとても綺麗な人間だけど派手でもないし地味でもない
それでも存在感を主張するように光っている
それは生まれ持った気品じゃないかと思う
外見の綺麗な子は大抵何かを見下したりする
彼女のもつ気高さはそういう高嶺の花のイメージと少し似ていて
他のクラスの男子からおたかくとまっていると表現されることもある
同じクラスの男子は当然がそうでないことを知っている
それに戸惑いを感じたり悩まされたりしている人もいるみたい
それでもみんな彼女に好意を持ってしまう
いつも傍にいる僕達にはギャップすら感じさせないけど
には両方住んでいるのかもしれないと僕は最近思う
どちらも本来の彼女ではなくて両方合わせて彼女になる
見たことないけどそんな気がする
だから自信のない根拠なんだけど
彼女のすべてを知る人はどこにもいない
彼女のすべてを知りたいとも思う
でも彼女は人にみせないようにするのだろう
自分を保つための見えない壁があるのだろう
たぶんね
僕らも見かけで判断されやすいから
ちょっとそう思ったんだ
僕らと同類だって
理解できるとこあるかもって



笑って自分のせいだからってそんなことないのに
そういいはるが痛くて見てられなくて
だから彼女に本当のことを言った
その瞬間、の瞳から光が消えたように見えた
このときぼくは悟った
僕は彼女を傷つけてしまったんだ
僕は彼女が保ってきた壁をこわしてしまった
彼女はいつものように笑っていたけど
それはまるで自嘲のようで
僕らに向けられたものではない
お願いだから無理して笑わないでほしい
不用意なひとことを許して欲しい
どうあやまったらいいのかわからない
言葉では届かないのを肌で感じる
もう誰にもキヅつけさせたりしないから







保健室に運んでいる間には寝てしまった。
きっと緊張の糸が切れたのだろう
倉庫のなかでは糸がはりめぐらされていた
前に見たものとは全く違って正直怖いほどだった
命を削り取るようで見ているこちらを痛くさせる
きっとあれはの心の内だろう
前に見たことがなければ気付かないものだろう
そうでなければ止めることもできなかったと思う


全くおまえは一体どんな生活を送っていたんだろうな

その体にどんな痛みを抱えてきたのだろう



前に先生が言っていた
優しすぎてプライドも強い
それがすこし理解できたような気がする


おまえは人に遠慮しすぎだ
俺にでさえそうするふしがある
自分に責任がある、か
すべての責任を自分で被るつもりか
おまえは優しすぎるな
躊躇せずにそう言い切る姿に気品すら感じる
この二つがおまえの本質なんだろう



「国光、ここは?」
「保健室だ」
目覚めたは顔色が少し良くなっている
俺は少し安心して触れていた手を離した
「そっか寝ちゃってたか・・・・・・・・・・」
「なんだ?」
「国光にも心配させちゃったな。」
「それ以上言う必要はない。」
「ずっと手を握っていてくれたんでしょ。」
「戻ってこないかと思ったからな。」
俺はそう感じた
だから引きとめた
勝手に体が動いたんだ 手を離せば消えてしまうとまで思ったぞ



「私のことよりまずは周助のことが先なのよ。」
「不二がどうかしたのか?」
「私のことでかなり熱くなってたからね。」
「菊丸はもっと酷かったぞ。」
「英二もそうだけど、まずは周助だよ。」
「なぜだ。」
「かなり責任感じてるとおもうよ。
同じクラスだから最初に気付くのは周助だろうし。
あれ見てなきゃそんな心配もないんだろうけど。
それにいつも感情を押さえてるからそのぶん危ういッ早く手を打っておかなきゃいけないわ。」
「どうするつもりだ」
「今頭働かないんだよねー。音楽鳴らしすぎて麻痺したわ」
「一人で考えるな。俺もいる。」

「・・・・・・国光そのままじっとしてて」
は国光の頭をなでている
「何をしている。」
「気が済むまで撫でたい。」

「・・・・・・・」

「やっぱ国光が一番しっくりくるね。」











は優しすぎるニャ

俺こんなの許せない

いくらファンだからってやっていいことと悪いことがあるよ
いいたいこととかあるんなら俺らにちゃんと言えばいいんだ
それをあんなところにとじこめるなんてさ
なんにも悪いことなんてしてないのにー
なのに自分が悪いなんてほんとにお人好しすぎるんだよ
いっつも誰かのためを考えてすっごく可愛い子なのに

は笑ってたけど俺にはわかるんだよ
あれは絶対空元気だ

が傷ついてる

俺もいつも元気を通してるからわかるんだよ

あんなに笑っていてもバレバレニャ
それでもは俺を慰めるんだ
俺今すぐにでも犯人探ししようかと熱くなってた
でも撫でられててだんだん落ち着いちゃった
を励ましてあげなきゃなんなかったのに
逆に励まされちゃったよ
もっと自分のことも考えて欲しいんだ
そのためなら俺何でもするする!

俺、何ができるかなー・・・・・





胃が痛い
心配しすぎたよ
はほんとうに大丈夫なのかい?
がここに来る前からこういう事態は考えていたけど
まさかこんなことをするとは思わなかった
僕らのファンがやった事だなんてとても悔しいよ
ファンっていうのはなんでこんな迷惑をかけるんだろう
どうすればいいのかなんて思いつかないけど
ファンのことは僕達がなんとかしなきゃいけないなぁ

みんなで相談しなくちゃなぁ・・・・・・




次行ってみよー





あとがき

シリアス編に入りました。ヒロイン差し置いてみんながグルグルモードです
大石視点がかなり短いのは気のせいデス(爆
大石の一人称は僕だったり俺だったりしますが気にしてはいけません(おぃ
乾とタカさん視点がないのはゴレンジャーがらみということで、、、汗
シリアス向いてないなぁ・・・。(ため息)



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