珈琲専門店



お出かけルンルン気分のテニス部御一行様

よくわからないが行き先はどうしてもコーヒー屋なんだそうです
周助は強引に決めてらっしゃいます
お腹がすいたという嘆きの菊丸と大石に、「太るとみっともないよ♪」とうまく丸め込みました
特に大石には太りやすいから気をつけるようにと乾のダメだしです
俺は大丈夫と楽観視している菊丸には、パートナーだし”旅は道連れ世は情け”と河村になんとなく釘をさされています




町家が軒を連ねるエリアの路地奥に、木製看板を掲げた店がひっそりとたたずんでいた
看板にはおごそかな字で”珈琲専門店”と書いてある
達筆なその字は、格式の高さを感じさせる
はっきりいって、中学生は場違いだ
しかし連れは中学生になぞ見えない風格の持ち主ばかりである

この店を選んだのは菊丸だった
強い勧めもあり、菊丸が行きつけとしている店に入ることになった。

「おおおー、これが日本情緒あふるる珈琲店。」
「へへへん。」
「うん。なかなかいい店だね♪」
「これは穴場だな☆」

だが中身は確実に中学生
中に入るのがためらわれる者も多い
明らかに躊躇しているのは、大石・河村・桃城・海堂
大石は、コーヒーしか置かれていない店がこの世の中に存在することを初めて知って、カルチャーショックをうけている
同じく河村も似たようなものである
それまでに好んで飲んでいたのは、パックか瓶のコーヒー牛乳だけなのだ
桃城と海堂は、まだ小学生を出たばかりのひよっこなので、大人な雰囲気に圧倒されているのだろう
二人がなんでいるのかというと、私達が楽しそうに出かけるのを耳にして着いてきたからだ
お子ちゃまな二人は、確実に腰がひけている
しかし、俺達は大人になるんだ、と二人見つめあって頑張っていた

河村は、同級生がこういった店に行き慣れているという事実が衝撃だった
さらに大石は、パートナーの英二までが、と驚きを隠せない

しかし、初体験なのは、も同じだ
は、一番興奮し、楽しそうにしていた
大石は、それを見て、ほっと胸をなでおろす自分が嫌になった
河村は、笑顔を振りまいて、動揺をひた隠す
(せめてここに一年生がいなければ・・・)
頼りにしているといったような目が、初体験の告白をできずにさせる




重いドアをあっさりと開けたのは、手塚である
場慣れしている
中に入ると、白髪のマスターが少し驚いた顔でこちらを見たが、ややして笑顔で団体を迎えた

レストランよりも数段暗い照明は、顔色を隠すには絶好であった
テーブルを隣合わせて、年季の入った椅子に腰かける
隅の一角に、制服を着た大人数がそこに集まる
綺麗なお姉さんが、メニューを持ってやってくる
それを開いた大石と河村はドギマギしていた
桃城と海堂はほんのりと顔を赤くしていた

は、メニューを開かずに隣の国光に話し掛ける
「国光、あのさ。こういうところって、制服で来てもいいの?」
高そうな骨董品が並べられるこの店の格調の高さに驚き、不相応なのではないかと考えた
大石と河村は、心の中で、を賞賛した
しかしそれも一瞬のことである
「普通は断られるだろうな。だが、店によるだろう。マスターがいいといえばいいんじゃないか?それに、菊丸の行きつけとなればそれほど気にする事もないだろう。」
手塚の答えに、が納得してしまったからだ
「そっかぁ。英二、凄いじゃん。」

しかし、菊丸は暗い照明の下で、顔を青くしていた
実は、一度もこういった店には来たことがないからである
少し考えればわかることだが、誰も何も気づかない
こんな素敵な店を知っているとは、と尊敬の視線さえ向けられる
菊丸はいつも以上の笑顔を振り撒き、メヌーを開く




表装がしっかりしていて、重さが感じられるメニュー一覧
そして中身を見て、驚いた
なんと値段が1000円から1800円
驚愕の事実を突きつけられたのは、菊丸だけではなかった
「せんぱぁ〜い。ここ高いっすよぉ・・・」
「それはそうだよ。専門店なんだし♪」
「味は80%良さそうだよ☆」
落ち込みぎみの桃城と海堂を、不二と乾で、宥めにかかる
開眼と逆光にはまだ慣れていない桃城と海堂である
値段について、それ以上追求することはなかった




「英二、何頼むんだい?」
不安な大石は、英二に助けを求める
同じやつにしようかな、と言いたかった
しかし、菊丸の口から出たのは
「えっと、俺、ウインナーコーヒー。」
という不思議な飲み物
え”っ、と言葉を濁らせた大石は、同じ・・・、とは言えなくて
「不二は?」
と、話をそらす
「そうだなぁ・・・キリマンジャロにしようかな♪」
きっと不二と違うものにしておけば、倒れることはないだろう
大石は、メニューの一番上にかかれていたアメリカンコーヒーを頼むことに決心した

河村も同様に誰かと同じ物にしようと思っている
苦くないだろうか、メニューを見ているとどれも不安である
そこで、と同じ物にしようと決めた
きっと、まずいならまずい、と言ってくれるだろう
小心者の河村は、そんなことを考える

桃城と海堂は、無難にアイスコーヒーを頼むことに一致した

、決まった?」
「周助・・・今・・・私は非常に迷っています・・・。」
「何に?」
「一口飲みたいcappuccino。だけど頼みたいのはBlue Mountain。」
「じゃあ僕がカプチーノ頼むよ。」
「えっ?」
「飲んでいいよ♪」
は目をキラキラと輝かせた

大石は、再び、ホッと胸を撫で下ろす
よかった・・・不二と同じじゃない・・・
しかし、河村は窮地に陥っている
はコーヒーに詳しそうだ
ならば、きっとブルーマウンテインでいいんだろう
いいのだろうか いいのだろうかったら
困っているシマリス風の河村であった

「マスター♪」
と機嫌の良い声で、店の主人を呼んだのは、不二である
しかし注文を取りに来たのは、ウェイトレスだ
そこで不二は、少し開眼
プ、と口元をメニューで隠した菊丸をよそに、手塚はさっさと注文する
「俺は、ブルーマウンテン。も同じだったな?」
「うん。」
「二つお願いします。」
手塚の速攻に、慌てて河村シマリスが追加する
「あっ、僕も。」
「じゃぁ、三つお願いします。」
と、手塚は言い直した
まず、河村が難関を突破した
ブルーマウンテイン、と言わなくてよかった・・・、とひっそり思った

「僕は、カプチーノね♪」
「俺、ウインナー!」
「アメリカンコーヒー」
「「アイスコーヒー」」
「んー・・・、俺はエスプレッソ。」
最後に注文したのは、忘れ去られていた乾である

笑顔で注文を受けたウェイトレスが、奥に消える
さすが、珈琲専門店
20分経っても、品物は出て来ない
菊丸英二は、少しどころかだいぶウズウズしていた
待つのが苦手なタイプなのだ


「アメリカンとブルマンのお客様。」
と手塚が手をあげる
と手塚は、河村をじっと見た
慌てて、河村シマリスが手をあげる
ブルマンの省略形に、出遅れた
「アメリカンは?」
はっと気付いたように、ぼのぼの大石が手をあげる
自分の注文したものを、忘れかけていたらしい
第二の難関、突破である


同じく運ばれてきたミルクをと手塚は丁寧に開けた
それを見て、ぼのぼのとシマリスは真似をする
河村は、ドキドキしながら、頑張った
しかし、大石はホッとしすぎていたのだろう
開けたとたんに手元が狂い、ミルクがびちっと飛び散った

被ったのは、桃城と海堂
だがしかし、そこはやはり一年生
ぐっと我慢

そういうわけで、河村に続いて大石もなんとか乗り越えた
しかし、アメリカンであるだけに、薄くて、味は酸っぱかった

エスプレッソとアイスコーヒーが運ばれてくる
乾は慣れた手つきでそれを飲む
桃城と海堂はドキドキした
どんな味なんだろう
シロップとミルクを入れて、混ぜるだけ
それはとてもとてもおいしいコーヒーでした
やっぱり先輩達は違うなぁ
そう思った瞬間です
初めて飲んだ本物の珈琲の味で、一歩大人に近づいたような気がした

そしてようやく菊丸と不二のコーヒーが運ばれる
ウェイトレスは、二つのカップをテーブルに置いた
「以上でよろしいですか?」
「ハイ♪」
ニコニコ顔で答えた不二に、お姉さんは、やけに照れた
年上キラー発動中

しかし英二は、不思議そうに問う
「これだけ?」
「は、はぁ・・・」
お姉さんは、そうですが、というと、急にハッとした顔つきになる

それはお姉さんだけではなくて、不二とにも伝染した
(まっ、まさかっ)
(もっ、もしかしてこのコっ!)
(そっ、それ以上は言ったら英二っ!)

「ウインナー珈琲は、ウインナーとは関係ないのか?」

真面目にそう言ったのは、手塚である

「・・・・はい。関係ございません。」
冷静な手塚の物言いに、ホっとしたようなウェイトレス
でさえもホッとした
不二は笑いを堪えて固まっている
「そうなのか。」
「うん。関係ないよ☆」
手塚の言葉に、乾が応じる
「ふ〜ん。」
と英二の声が少し漏れた
は俯き、肩が揺れた。
不二も一生懸命堪えている。
(ヒー、やっぱりー)
は段々口元が緩んできて、隣にいた不二の背中に隠れる
不二も繕った笑顔で固まりながら、我慢の限界にきているを背中に隠す
は、不二の背中で咳き込みながらごまかした

。平気か?」
手塚はの背中をさする
は言葉にならず、やめてくれと、手でなんとか合図する
大きな咳払いが二つ
と不二
正気に戻ると、二人はいつもと微妙に違う笑顔であった


二人は、英二を見ないようにした
しかし、視線は、どうしても英二に行きたがる
英二は、スプーンを持って、珈琲をかきませる

「英二、いくらしゃくっても、ウインナーは出てこないよ☆」

乾からのダメダシの一発
英二は、途端に真っ赤になった。
と不二は、目を見開き、手を取り合って、我慢した

乾と手塚は、菊丸を無視する形で、ウインナーコーヒー談議に入っている
「乾は知ってたのか。」
「ああ、一応。そこの不二とも知ってるよ☆」
一旦は落ち着いたが、口元は緩みっぱなしだ
「えっ、う、うん。ヴィエンナコーヒーって言うの。」
だから、バイエルなにがしウインナーとは関係ない
「う、ウイーンが発祥の地だったっけ♪」
「なるほど・・・。」

真面目に会話をする乾と手塚のおかげで、菊丸英二はなんとか危機を脱した
それを、桃城と海堂は、不思議そうに見つめていた




さて、飲むだけ飲んで、まったりと過ごした後は、会計を済ませるだけである
乾は会計書を手にすると、ぼそっと呟いた
「結構値段行きそうだよ。」
「どのくらいだ?」
乾は手塚に手渡した
「上手いならいいんじゃない?」
は、手塚が手にする会計書を見た
「あ。ほんと高そう。」
「おごりだろ?」
手塚は悪戯のように言ってみた
「はぅ、国光ちゃっかりしてるわね。」
は、しょうがないな、と言う
金の出所を知っているだけに、仕方ない

が、周助もそれに乗じた。
「僕もだよ♪だってほんとは約束忘れてたでしょ?」
アクドイ笑顔は敵に回したくないである
「ちゃっかりするのは周助もカヨ。」
しょうがないなぁ〜、とは言った

桃城と海堂はオズオズと言った。
「すんません、先輩。俺達、金足りないッス〜。」
泣きそうな顔には弱いであった
「じゃぁ、今日は奢っとくよ。」
「助かるッス〜。」

しかしそれだけでは収まらなかった

「俺も俺も俺も〜」
「あぁもうっ、英二までっ。もういいよっ、全部出すよチクショウメ。」

そしてまだまだ終わらなかった。

「俺も」「俺も〜」

「って何人いるのよっ!!」


少し憤慨しただったが、声は別の席から聞こえてくる

その方角からは、へこへこした様子の一年生が顔を出した

「荒井に林っ!?・・・あんたら今までどこに隠れてたのよっっ!?!?」


「おもしろそうでつい・・・。」
「こんなに高いとは思わなくて・・・。」
二人共、しゅんとしている



6×1200+2×1600+3×1800=

・・・・15800えん・・・・




リッチマンは、真っ白に燃え尽きて、小金持ちに変身した




次行ってみよー



あとがき

内訳 1800×(,手塚,河村)+1600×(不二,菊丸)+1200×(大石,乾,桃城,海堂,荒井,林)

くっはぁ〜!
全員出すと、辛いです。しっちゃかめっちゃか(笑)
ついてこれただろうか・・・(痛)
久しぶりのギャグというのは、大変だ

リョーマがいたらどうなったんだろうね・・・
「ファンタないの?」「ねぇ、ファンタ。」「ファンタってば。」←強気で攻めマス
「しつこーい!」と、なるかと思う
もしくは、マスターにファンタって直に頼みに行く。そして、皆からスゲェ、という羨望の眼差し
「やるなこいつ」「フフフン」と笑ったところで、面白くナサそうだ(爆)



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